新入生、新入社員の皆さんにはおめでとう申し上げる。
今年は例年には珍しく4月に桜が残ったのだ。

目黒川沿いの主(株式会社SOSEKI社長)。この後ロゼスパークリング三昧だったのは言うまでもない。
入学式と言えば、4/12に行われた東大入学式での上野千鶴子先生の祝辞が話題になっている。
女性の教育や社会における差別、公正に報われない社会について語った後、
これからの学生が持つべき視野について示唆を与えた内容だったのだ。
主は大忙しで、「先生、ありがとう」と涙千万になった直後、
テレビのコメンテーターの反応に萎え萎え萎え〜となっていた。
先生の祝辞全文は、東京大学HPから確認できる。
東京大学HP<https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html>
主は、
「自分が学生の時に聞いていたら、言葉の意味が分からなかったと思うけど、
社会人として、プライベートでも経験を積んだ今、よく分かる」と言っている。
先生の祝辞は、女性格差に限らず、様々な示唆に富んでいるが、
メディアでは「東大女子の差別」が大きく報道されているようだ。
それにしても、テレビ番組の報道を2つ見て、著名なジャーナリスト、政治家のコメントは吾輩をも萎えさせた。
・とあるジャーナリスト:「この祝辞は答を出していない」
・とある政治家:「数値の根拠がない。女性は手に職をつけてる人が沢山いる。東大生の優越感が問題」
論点と視点、そこかい!?
しかし、番組での男性陣と女性陣の反応は明らかに違ったのが興味深い。
女性陣は上野先生に肯定的、男性陣は、論点をすり替えてよく分からない反論。
しかし、反論に対してあえて強く反論しないのが、空気を読んでしまう女性のサガ。
(もっと頑張ってくれ〜)
これらの人たちのコメントを見ていると、上野先生の議論の前提が誤解されているように吾輩は考える。
まず、
・東大の入学式なので、東大女子にフォーカスした祝辞になっているが、
これは、努力の結果、学歴を手にした女性全般、キャリアを手にした女性全般が対象の議論である。
分かりやすく言えば、早稲田出身の女性にも当てはまるし、
学歴はなくても腕一本でビジネススキルを身に付けた女性にも当てはまる。
・女性を差別する問題が男性だけにあるとは先生は言っていない。女子を「愛される、選ばれる、守ってもらえる」人間に育てるのは、社会・母親を含む家庭であると解釈するのが妥当。
・(おまけ)大学の先生は学生に示唆を出すのが仕事であり、答を出すのは仕事ではない。
にーも関わらず、反論した男性たちは、「なんとなく認めたくない」感情で、論点を変えてまでも反論してしまったと吾輩は察する。
ここに闇の深さを感じるのは吾輩だけであろうか?
理屈ではなく、心に染み付いた価値観になっているのだ。
社会には年齢に関係なく、価値観が自由な男性もたくさんいて、
このような反応をしてしまう人達を男性代表のように言うと、その方たちに申し訳ないのであるが
(素敵な人たちが少なからず存在しているので主は希望をもって仕事を続けている)、
割合的には、こういう人たちはやはり多いのではないだろうか。
とある有名な外資系金融機関でさえ、部の社員全員が招集された部内会議が始まる前、部長がこう言った。
「男性の皆さんは会議室へ、女性の皆さんは残って引き続き作業を」。
そして、この種の人達が会社のカルチャーを醸成していると、
この間まで大学で女性と対等に会話していたはずの若い男性社員までが、あっという間にそのカルチャーに染まっていくのである。(カルチャーに染まらない人は出世コースから脱落する)
こうして女性社員は男性社員のアシスタントになってゆき、抵抗と失敗を繰り返すうちに、抵抗しない方が居心地がいいと気づくのである。
心に染み付いた価値観というものは、「あなた、悪いことしてますよ」と言っても治るものではない。
差別を生んでいる側は、息を吸うように差別をしているのであって、人を貶めていることに無自覚だからである。
なので、主は改めて、こういった問題が根付いてしまっている会社においては、イケてる社長がイケてる人事部を採用し、組織や社則という外堀りから埋めていくしかないと思う。
(人事部が素敵か素敵じゃないかは、その会社を表している)
また、主が改めて思ったことには、問題に無自覚な人たちから改革は生まれず、女性が声を上げていかないといけないということだ。公民権運動をリードしたのもキング牧師だったという当たり前の事実を思い出す。上野先生の祝辞は、このような当たり前のことを再認識させるよい機会になったのではないだろうか。
(上野先生はこういった耄碌した批判に負けずに戦ってこられた。今の女性登用の波も先生の功績が大きい。同じ千鶴子として主はリスペクトしている)
先生の祝辞を読んで、主は付け加えたいことが2つあるそうだ。
一つは、先生の祝辞では合コンが話題になっているが、これは、高学歴・キャリア女性の結婚の問題につながっていくということだ。
主の女性の友達の独身率はとても高い・・・・。
そして、上野先生の言うところの「愛される、相手を絶対におびやかさない」ように育った女性と結婚した後に、「やはり妻とは話も価値観も合わない(けど離婚する気はない)」などという男性から不倫の誘いを受けたりして、さらに自分に自信を無くしてしまう。
頑張って勉強し、仕事してきた結果、誰かのオンリーワンの存在にはなれず、二番目の座がオファーされる・・・泣けるのだ・・・(ガクっ)。
結婚だけが人生ではない。これはよく言われることであるが、
愛する人と一緒の時間を過ごしたいと思う人の方が多く、その気持ちに年齢は関係ない。
男性の皆さん、「あの女性は仕事に生きているから結婚に興味ないだろう」などと思い込まず、
縁談があれば、お節介を焼いて紹介してあげてほしい。(なんの話?)
二点目は、テクノロジードリブンの社会になれば、女性の経済的格差がさらに広がるのではないかということだ。
今時点で男性と女性の間に学歴格差があり、理系の学部はさらに女子率が低い。
主の知り合いのテクノロジー企業社長は、プログラミングというのは机に向かって努力してスキルが上がるものであるから、勉強が得意な子の方がプログラミングもできる傾向があると断言していた。
テクノロジーの得意不得意で年収に差が出てくるとすると、理系が弱い傾向にある女子はさらに年収が開くのではないだろうか。
津田梅子さん的視点で女子プログラミング教育が必要になるかもしれない。
IT格差については様々な議論が始まっているので、マケドニア産のフェイクニュースに注意しながらググられてみてはいかがだろう。
主はもう少し話したそうであるが、止まらなそうなのでこの辺で終わりにしておく次第である。
上野先生の言葉を受けての色々な振り返りや考察。まさに、社会に影響を与える方ということであろう。
主には、この課題感を持続して持っていってもらいたいものである。
ちなみに、主は幼稚園から高校まで女子校育ちなのだ。
そのため、男性が気に入る女性の役割があるということを全く知らずに人格形成されたのだ。
若い頃は「モテない・・・なんでだろう」などと思っていたが、
そのおかげて、自分らしく自由に生きていられるのだ。
ありがたいありがたい。
代筆 by 社長